画像生成AIを使ってみたものの、思い通りの絵が出てこなくて困っていませんか?実は、AIに上手に指示を出すコツを知るだけで、格段に満足度の高い画像が作れるようになります。今回は初心者の方でも簡単に実践できる、プロンプト(AIへの指示文)作成のポイントを5つご紹介します。
画像生成AIとプロンプトの基本
画像生成AIは、テキストによる指示から画像を作り出す技術です。ここ数年で急速に進化し、誰でも簡単に高品質な画像を生成できるようになりました。でも、思い通りの画像を得るには「プロンプト」と呼ばれる指示文が重要なカギを握っています。
プロンプトとは何か
プロンプトとは、AIに対して「どんな画像を作ってほしいか」を伝える指示文のことです。例えば「白い猫が芝生の上で寝ている」というプロンプトを入力すると、AIはその内容に沿った画像を生成します。
単なる単語の羅列ではなく、AIが理解しやすいように構成された文章であることが大切です。プロンプトの書き方次第で、同じAIツールでも全く異なる画像が生成されます。
なぜプロンプトが重要なのか
プロンプトは、AIと私たちの間の「共通言語」のようなものです。どれだけ優れたAIツールでも、曖昧な指示では期待通りの結果は得られません。
例えば「かわいい犬」というプロンプトだけでは、犬種や背景、画風など多くの要素が不明確です。AIは自動的に補完しますが、それが私たちのイメージと一致するとは限りません。
一方、「茶色の柴犬の子犬が、青空の下の公園で赤いボールで遊んでいる、明るい雰囲気の水彩画風」というプロンプトなら、AIはより具体的なイメージを理解できます。
代表的な画像生成AIツール
現在、多くの画像生成AIツールが利用可能です。それぞれ特徴や得意分野が異なるので、目的に合わせて選ぶと良いでしょう。
ツール名 | 特徴 | 料金 |
---|---|---|
Midjourney | リアルな画像や芸術的な表現が得意 | 月額10ドル~ |
DALL-E 3 | 自然な文章からの生成に強い | 無料版あり/有料版は従量制 |
Stable Diffusion | 無料で使え、カスタマイズ性が高い | 基本無料 |
NovelAI | アニメ調の画像生成に特化 | 月額10ドル~ |
Adobe Firefly | Adobe製品との連携が強み | 月額680円~ |
初心者の方には、日本語対応している「DALL-E 3」や「Stable Diffusion」がおすすめです。特にDALL-E 3はBing Image Creatorを通じて無料で使えるので、気軽に試せます。
画像生成AIで思い通りの絵を作るコツ5つ
さて、ここからが本題です。画像生成AIで理想の画像を作るための5つのコツを紹介します。これらを押さえるだけで、プロンプトの質が格段に向上します。
コツ1:画像のイメージを明確にする
プロンプトを書く前に、頭の中で作りたい画像のイメージをできるだけ具体的に思い描きましょう。「何となく可愛い感じの」ではなく、「どんな要素があれば可愛いと感じるか」を考えます。
例えば風景画を作りたい場合、時間帯は朝か夕方か、天気はどうか、人は写っているか、どんな色調にしたいかなど、細部まで想像してみてください。
イメージが固まったら、それを言葉に置き換えていきます。この段階で参考画像を探してみるのも効果的です。「こんな感じの画像」という具体例があると、プロンプトに含めるべき要素が見えてきます。
コツ2:基本要素をすべて入れる
良いプロンプトには、以下の基本要素がバランスよく含まれています。
要素 | 説明 | 例 |
---|---|---|
主体 | 何を描くか | 「白い猫」「赤いバラ」 |
背景 | どこで描くか | 「砂浜」「星空の下」 |
アクション | 何をしているか | 「走っている」「微笑んでいる」 |
スタイル | どんな画風か | 「水彩画風」「写実的な」 |
これらの要素をすべて含めることで、AIはより具体的なイメージを把握できます。特に主体と背景は必須です。「白い猫が青い空を背景に草原で寝そべっている、パステルカラーの水彩画風」のように組み合わせると効果的です。
また、要素の順番も重要です。一般的には「画風→主体→背景→アクション」の順に並べると良いでしょう。AIは先に書かれた要素を優先する傾向があります。
コツ3:具体的な指示を心がける
「きれいな」「かわいい」といった抽象的な表現は、人によって解釈が異なります。AIも同様に、曖昧な言葉からは一貫した画像を生成しにくいのです。
例えば「きれいな風景」ではなく「夕日に照らされた金色の砂浜と青い海」のように、具体的に描写しましょう。色や形、素材、質感などを明確に指定すると、イメージに近い画像が得られます。
特に色彩は重要です。「青い」だけでなく「空色の」「コバルトブルーの」など、より具体的な色を指定すると効果的です。同様に、「大きい」よりも「象ほどの大きさの」のように比較対象を入れると分かりやすくなります。
コツ4:情報の取捨選択を行う
プロンプトは詳細であるべきですが、あまりに長すぎると逆効果になることもあります。AIが処理できる情報量には限りがあるため、本当に重要な要素を見極めましょう。
例えば人物画像を生成する場合、服の細かいデザインよりも表情や全体の雰囲気を優先するなど、メリハリをつけることが大切です。
また、相反する指示(「リアルでありながら漫画風」など)は避けましょう。AIが混乱して中途半端な結果になることがあります。一貫性のある指示を心がけてください。
コツ5:強調や制約条件を明確に指示する
特に重視したい要素がある場合は、それを強調しましょう。例えば「特に目の表情を重視した、笑顔の少女」のように指定できます。
また、「〜ではない」という否定形の指示(ネガティブプロンプト)も効果的です。「人物が写っていない風景」「暗い色調ではなく明るい色調で」など、避けたい要素を明示することで、より意図に沿った画像が得られます。
ツールによっては、重要な要素に重み付けができるものもあります。例えば「猫:1.5, 草原:1.0」のように数値で重要度を指定すると、猫の描写により注力した画像が生成されます。
プロンプトの実例と解説
実際のプロンプト例を見ながら、効果的な書き方を学びましょう。ここでは代表的な3つのケースについて解説します。
人物画像を生成する場合
人物画像は、表情や姿勢、服装など細かい要素が多いため、プロンプトの書き方が特に重要です。
写実的なポートレート、30代の日本人女性、ショートヘア、知的な表情、白いブラウスと黒のジャケット、オフィスの窓際に立っている、柔らかな自然光、浅い被写界深度、85mmレンズ
このプロンプトでは、まず「写実的なポートレート」と画風を指定し、次に人物の特徴、服装、場所、光の状態、カメラ設定まで詳細に記述しています。
特に人物画像では、年齢や表情、髪型などの特徴を具体的に指定すると、イメージに近づきやすくなります。また、「85mmレンズ」のようなカメラ設定を加えることで、より写真らしい仕上がりになります。
風景画像を生成する場合
風景画像では、時間帯や天候、光の状態が重要です。また、遠近感や視点も指定すると効果的です。
夕暮れの富士山、山頂に残る雪、手前には満開の桜の木々、遠景には静かな湖、オレンジと紫の空、写実的な油絵風、広角レンズで撮影したような構図
このプロンプトでは、主役の「富士山」に加え、時間帯「夕暮れ」、前景「桜の木々」、背景「静かな湖」、色調「オレンジと紫の空」、画風「写実的な油絵風」、構図「広角レンズ」と、風景の要素を網羅しています。
風景画像では特に、前景・中景・背景のバランスを意識すると、奥行きのある画像が生成されやすくなります。
イラスト調の画像を生成する場合
アニメやイラスト調の画像は、リアル系とはまた異なるコツがあります。
ジブリ風イラスト、森の中の小さな魔法の家、キノコの屋根、窓から温かい光が漏れている、夕暮れ時、小さな妖精たちが周りを飛んでいる、細部まで丁寧に描かれた、ファンタジー雰囲気
このプロンプトでは「ジブリ風」という具体的な画風を指定し、ファンタジー要素を詳細に描写しています。イラスト調の画像では、「〇〇風」と具体的な参考スタイルを指定すると効果的です。
また、「細部まで丁寧に描かれた」のように画像の質感や描き込みについても言及すると、より完成度の高い画像が得られます。
よくある失敗とその対処法
画像生成AIを使っていると、思うような結果が得られないことも少なくありません。ここでは代表的な失敗パターンとその対処法を紹介します。
曖昧な表現による失敗
「素敵な風景」「かっこいい車」など、抽象的で曖昧な表現を使うと、AIの解釈次第で予想外の結果になることがあります。
対処法: 具体的な描写に置き換えましょう。「素敵な風景」→「夕日に照らされた海岸線、オレンジ色の空と穏やかな波」のように、何が「素敵」なのかを具体的に説明します。
また、形容詞だけでなく、具体的な例を挙げるのも効果的です。「かっこいい車」→「流線型のスポーツカー、赤いボディと黒いホイール、フェラーリに似たデザイン」のように。
情報過多による混乱
あまりに多くの要素を詰め込みすぎると、AIが処理しきれず、中途半端な結果になることがあります。
対処法: 本当に重要な要素に絞りましょう。一度に10個以上の要素を指定するのではなく、3〜5個の重要な要素に集中します。複雑な画像が欲しい場合は、まず基本的な画像を生成してから、徐々に要素を追加していく方法も効果的です。
また、文章を短く区切り、読点や句点を適切に使うことで、AIが理解しやすくなります。
矛盾した指示による問題
「リアルでありながら漫画風」「明るくて暗い雰囲気」など、矛盾する指示はAIを混乱させます。
対処法: 一貫性のある指示を心がけましょう。矛盾する要素がある場合は、どちらを優先するか明確にします。例えば「基本的にリアルな描写だが、色彩のみ漫画風に鮮やかに」のように、矛盾を解消する表現に変えましょう。
また、複数の画風を混ぜたい場合は「写実的な描写と水彩画の中間的なスタイル」のように、具体的な配分を示すと効果的です。
プロンプトをステップアップさせるテクニック
基本を押さえたら、さらに一歩進んだテクニックを試してみましょう。ここでは上級者向けの3つのテクニックを紹介します。
文脈を追加する方法
単に物や人を描写するだけでなく、「なぜ」「どのような状況で」という文脈を追加すると、より豊かな画像が生成されます。
例えば「猫がソファに座っている」だけでなく「日曜の午後、陽だまりの中でくつろぐ猫がソファに座っている、穏やかな家庭の雰囲気」のように、状況や感情を加えると、AIがそれを反映した画像を生成します。
文脈を追加することで、単なる「もの」の描写から「物語」を感じさせる画像へと進化させることができます。特に感情表現や時間帯、季節感などを加えると効果的です。
優先順位をつけて指示する
AIは一般的に、プロンプトの前の方に書かれた要素を優先する傾向があります。この特性を利用して、重要な要素を前に配置しましょう。
例えば「夕日、海、砂浜、ヤシの木」と「ヤシの木、砂浜、海、夕日」では、前者は夕日が強調された画像に、後者はヤシの木が目立つ画像になりやすいです。
また、ツールによっては「夕日:1.5, 海:1.0, 砂浜:0.8」のように数値で重み付けできるものもあります。重要な要素ほど数値を大きくすると、その要素が強調されます。
ネガティブプロンプトの活用法
多くの画像生成AIでは、「避けたい要素」を指定する「ネガティブプロンプト」機能があります。これを上手く活用すると、より精度の高い画像が得られます。
例えば、人物画像を生成する際に「変形した手、不自然な指、ぼやけた顔、不均衡な目」などをネガティブプロンプトに指定すると、これらの一般的な問題を回避できます。
また、特定の色調や雰囲気を避けたい場合も効果的です。「暗い色調、モノクロ、雨天」などを指定すれば、明るく晴れた画像が生成されやすくなります。
ネガティブプロンプトは、特に細部の品質向上に役立ちます。「低品質、低解像度、ぼやけた」などを指定すると、より鮮明で高品質な画像が得られることが多いです。
まとめ
画像生成AIを使いこなすには、プロンプトの書き方がとても重要です。具体的なイメージを持ち、基本要素をバランスよく含め、曖昧さを排除した指示を心がけましょう。情報の取捨選択を行い、強調したい要素を明確にすることで、より理想に近い画像が生成できます。失敗を恐れず、少しずつプロンプトを調整しながら、自分だけの表現方法を見つけていくのも楽しいものです。ぜひこの記事で紹介したコツを実践して、画像生成AIの可能性を広げてみてください。